凶悪と、悪人と、冷たい熱帯魚から考える、共感力。
山田孝之さん・リリーフランキーさん・ピエール瀧さんが主演の『凶悪』。巷ではピエール瀧さんの死刑囚っぷりが話題になっていた、と記憶しています。実際にあった事件が元になっているためかエンタメコーナーで取り上げられ、注目を浴びていた気がします。めざましテレビとかの朝イチで特集されるのはめちゃくちゃ違和感あったけど。
この手の映画は個人的には結構好きです。タイトルに書いた園子温監督の『冷たい熱帯魚』や、『恋の罪』なんかもチェックしています。wiki-にある映画の元ネタになった記事を読んで、かなり気持ち的にも落ちたのは記憶にも新しいです。
『冷たい熱帯魚』元ネタ事件
『恋の罪』元ネタ事件
そして『凶悪』。事前に『冷たい熱帯魚』や『恋の罪』を観ていたので期待値が高かったのですが、やや消化不良な感が否めなかったです。ネタバレになってしまうので内容には言及できないですが、終止『コレじゃない感』が続いてしまいました。
『凶悪』を観終わった後に、思ったこと。
「ああ、ピエール瀧は自分と違う人種だ。僕はピエールにはなれない」と。
話の持って行き方だと思うのですが、死刑囚の告白から始まり、死刑囚の主観で映画が進んでいきます。いわば映画を観ている全員がピエール瀧さんです。
でも、この世に犯罪(特に殺人)を自ら進んで犯す人がどれだけいますかね。僕はたぶん、家畜の屠殺場に行っただけでも卒倒しちゃうくらいのビビりです。ノイタミナでやってる『銀の匙』でも、少し「ウッ」となるくらい。どれだけ凄惨な事件でも、殺人犯になるつもりは更々ないので共感できないんす。
僕はきっと、「どんな酷い現場に連れてかれて、どんな酷い被害に合うのか」というのを期待してたんでしょうね。
その点、妻夫木聡さんと深津絵里さんが主演した『悪人』はエグかったと思います。主人公二人に共感しまくりで、感情移入しまくりでした。「もしかしたら自分もやっちゃいそう・・・」と思ってしまい、観終わった後は体中が震えてしばらく席から立てなかったくらいです。ああ、今思い返しても切ない・・・。
映画で大事な要素の一つは、主人公と自分を重ね合わせられるか、そのシチュエーションは自分にも起こりえるかだと僕は思います。
『冷たい熱帯魚』や『恋の罪』、『悪人』は、主人公が事件に巻き込まれてしまったことで起きてしまった事件として話が進むので、「自分がこの状況にいたらどうしよう・・・」と思ってしまうのです。主人公を通して、自分に置き換えられやすいんですよね。
もし、あなたがある日突然 殺人の片棒を掴まされてしまったら・・・。ああ、『闇金ウシジマくん』の洗脳くん編を映画化しないかな。あれは明日にでも起こりそうなケースだと思うのです。映像化したら、また震えると思います。
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